過活動膀胱のとき…

排尿日誌

トイレが近くてお困りのことはありませんか?

 

「尿意切迫感」があり、「頻尿・夜間頻尿」や、時に「切迫性尿失禁」がある状態を総称して「過活動膀胱」といいます。

 

過活動膀胱になる原因は、多くの場合は加齢による膀胱血流と神経の変化からですが、膀胱炎、前立腺肥大症、膀胱癌等の存在などが背景に隠れていることがあり、人によって原因は様々です。過活動膀胱の多くは治療によってよくなります。また、時に同時に複数の原因が隠れていることもあります。とくに膀胱癌はほかっておくことはよくないと考えますでの、もし過活動膀胱の症状をお持ちであれば、まず一度は全体のスクリーニングの検査を受けることをお勧めします。

 

過活動膀胱で受診された際の流れについてお伝えします。

 

いつトイレが近いか、どのようにトイレが近いかによって、想定する原因をおよそ判別していくことができます。まず、現在の排尿の状態をお教え下さい。

 

 Q、急に尿意が出現して、我慢できなくなりますか?

 Q、トイレに間に合わないので漏れてますか?

 Q、昼の頻尿ですか、夜の頻尿ですか?

 Q、残尿感はありますか?

 Q、排尿時痛は存在しますか?

 

  今までにかかったことのあるご病気、現在治療中のご病気についてもお聞きします。

 

  過活動膀胱での検査では必要に応じて、次のようなものがあります。

 

  ✅ 尿検査で尿の性状を確認します。膀胱炎の有無などはっきりします。

  ✅ 腹部エコーで、膀胱の状態の確認や残尿の有無の確認します。

  ✅ 尿に癌細胞の出現があるか判定する尿細胞診をおこないます。

  ✅ 「排尿日誌」をお渡しし尿の記録を取ります。

 

 「排尿日誌」とは、1日24時間の毎回の排尿量を測定し記録する用紙です。この排尿日誌を記入することで、いつ頻尿なのか、膀胱が1回に貯めることができる尿量が十分なのかといった情報がわかります。ときに「夜間多尿」といって、身体のバランスにより夜間の尿量が増えていて、結果として夜間のトイレが増えている状態があります。夜間多尿の主な原因には高血圧や潜在的な心不全、睡眠時無呼吸症候群、下肢静脈瘤、就寝前の飲酒・飲水などがあります。

 ベースに癌の疑いがあるときは以下を追加します。

  ✅ 膀胱癌の存在が疑われるときは、膀胱鏡で膀胱内を確認します。

  ✅ 男性で前立腺癌の有無の確認したい場合は、PSA採血を行います。

 

 これらの検査などでおよその過活動膀胱・頻尿の原因を突き詰めることができます。

 

 そして困っている症状に対しての膀胱の敏感さを抑える治療薬を提案します。過活動膀胱には薬がよく効くことが多く、しばしば「いままで困ってたのがこんなに良くなるなんて」と驚かれます。尿意切迫感の症状が改善することで日常生活の質がよくなります。

 

 薬剤で治りにくい難治性の過活動膀胱の方や、合併症や副作用で治療薬の内服ができないかたに、物理療法として「ペリネスタ」(旧:ウロマスター)という装置での干渉低周波治療が有効です。この治療は20分骨盤に電極を張って安静にすることで、膀胱周囲の刺激が起こり、頻尿・尿失禁の治療が行えます。保険診療で治療できますので、お悩みの方は一度試してみてください。男性・女性ともに適応で、繰り返し治療を受けることで効果が積み重なります。

【ペリネスタはこちら】

 

 また、最近、保険診療にて過活動膀胱に対してボツリヌス療法ができるようになりました。ボツリヌス毒素の膀胱内注射の治療で、膀胱の過剰収縮を抑えます。1回の施術での治療効果の持続は約6-9カ月です。重症の過活動膀胱の方にお勧めとなります。薬剤をしっかり使用してなお困っている方に、治療をご提案いたします。

当院でも日帰りで「ボトックス膀胱壁内注入治療」を行っています。

【当院のボトックス治療についてはこちら】

 

 過活動膀胱の新しい治療として、仙骨刺激療法(SNM)も登場しました。仙骨にリードを挿入して試験刺激を行い、効果のある方に装置の埋め込みを行います。

 

 尿意を気にすれば気にするほど膀胱が尿意に敏感になり、すぐに尿意を感じてトイレに行くサイクルができてしまっている場合があります。そんな方には、膀胱訓練(トイレ我慢のトレーニング)が有効です。どのように食事や飲水、運動の習慣をつくるか、どのタイミングでトイレに行くかなど、日常生活の内容をご提案をさせて頂きます。

 

 今まで困っていた頻尿も原因がなにかをはっきりするだけで安心したり、一人で抱え込まずに相談したことでも心理的な負担がとれます。そして快適に過ごせるようになります。もし気になっていることがあれば、一度お気軽にご相談ください

WEB問診・ネット予約について

※ 随時「予約なし」での飛び込み受診もお受けしております。
※ 美容カウンセリング予約をご希望の方は、【こちら】をご覧ください。

過活動膀胱の行動療法

  • 1
    生活習慣を見直しましょう。
    膀胱を刺激するカフェイン、辛い物(カプサイシン)、ワサビ等を控えましょう。アルコールの制限、減量、便秘改善や下半身の冷えの改善も有効です。
    冷え改善には漢方薬も利用いただけます。
  • 2
    膀胱訓練をしましょう。排尿を我慢する訓練をして、少しづつ蓄尿できる時間を長くし、尿意切迫感をやり過ごせるようにしましょう。
  • 3
    骨盤底筋訓練をしましょう。尿を出しているときに止める筋肉が骨盤底筋です。排尿を止める筋肉の使い方を覚えたら、日常生活の中で、常時軽くこの筋肉を締めるような感覚で生活してみましょう。
  • 4
    排尿の量を計測してみましょう。1回排尿量が200ml~350ml程度になるように排尿量のコントロールをしてみましょう。1回排尿量が200ml以下の場合は、膀胱訓練がオススメです。
    軽い尿意がある際は骨盤底筋を締めることで尿意をやり過ごし、蓄尿できる量を増やしていきましょう。
  • 5
    外出時などは過活動膀胱治療薬を内服する等の対策をとり、尿意切迫感でトイレを探すという軽いトラウマ体験になるような記憶を身体が覚えないように配慮しましょう
     

ボトックス膀胱壁内注入治療

対象

頻尿・尿漏れなどの症状が起こる過活動膀胱に対する治療で、生活習慣の指導や薬剤による治療などが行われて、それでも尿漏れが継続するなど効果不十分な男性および女性。

過活動膀胱の薬剤の口渇・便秘の副作用によって、内服継続が難しい方が対象になります。

方法(日帰り治療)

膀胱に局所麻酔をした状態で内視鏡を挿入して、注射針で膀胱の筋肉に20カ所に注射をします。実際の注射処置にかかる時間は約15分程度です。

痛みの予防のために、座薬タイプの鎮痛薬と、膀胱内に麻酔薬をいれて事前に局所麻酔を行います。痛みの対策として静脈麻酔も準備しており、ご希望に沿った痛みのない治療をご提供します。

 

院内の滞在時間は、術後の経過観察を含めて1~2時間程度が見込まれます。

日帰りでできるので、入院と比べて自己負担が少なくなります。

【注意】静脈麻酔を行った場合は、車を運転してご帰宅いただけません。

治療効果

効果は約3日であらわれ、6~9ヶ月程度持続します。個人差があります。

効果が弱まってきた場合は、前回の投与から3か月以上が経過していれば再投与が可能です。

 

国内の臨床試験では初回治療後、6週の時点で1日あたりの尿失禁回数が3.6回減少しています。27%の方で尿失禁が完全になくなり、60%の方で尿失禁の回数が半分以下になる結果でした。

副作用

●肉眼的血尿(2%程度)

一時的に尿に血がまじることがあります。

通常は自然に止まりますが、ごくまれに止血の処置が必要になる場合があります。

 

●尿路感染(5%程度)

尿の出口から細菌が膀胱内に侵入することで生じます。

尿路感染により炎症が生じると、尿の濁り、頻尿、排尿痛、発熱、悪寒、血尿などの症状が見られることがあります。予防的な抗生剤の投与で予防をして、発症時は抗生剤で治療を行います。

 

●残尿の増加、尿閉、排尿困難(5〜9%程度)

尿を全部出しきれず、膀胱内に尿がたまってしまう副作用です。

投与後は2週間以内に残尿量を測定し、その後は必要に応じて残尿量測定を定期的に行います。残尿量がある程度多くなった場合は、改善してくるまで自己導尿(カテーテルを尿道から入れて自分で膀胱にたまった尿を排出する方法)が必要になることがあります。

症状がおさまれば自己導尿は終了となります。

 

●薬剤のアレルギー(1%以下)

ごく稀に薬剤へのアレルギーが出る場合があります。

ボトックス膀胱壁内注入治療(保険診療)

1回    46,000円(2割の場合)/ 70,000円(3割の場合)

当院の過活動膀胱の治療の3つの特徴

専門医の薬の選択と、日常生活のアドバイス

 なぜ頻尿なのか精査し、どれくらい改善するの見通しをたてて治療を行います。同じような症状でもその原因によって必要な西洋薬は違ってきます。的確に薬剤を使い分けることで治療効果を高めます。また、東洋医学的に夜間頻尿は腎虚というエイジングの兆候の一つと考えます。もし補腎剤という腎虚に対応する漢方薬を飲んだとすれば、頻尿だけれなく老化への治療もできることになり、一石二鳥です。

 ときに薬剤の内服に加えて、生活習慣をちょっと変えるだけで、大きく変化が生まれることがあります。今までにの経験で効果のあった生活習慣の改善の提案もさせていただきます。

 

 過活動膀胱について、今の状態を丁寧にご説明をすることを心がけています。きちんと時間をとり今できる具体的な治療薬や生活面でのアドバイスをお伝えします。

尿細胞診を確認

 長年他院で、過活動膀胱や前立腺肥大症として治療を受けてきて、良くならないのでセカンド受診された方の中に、ときに膀胱癌が隠れているという経験をしました。粘膜内の膀胱癌は疑って尿細胞診をしないと他の検査では見つけることが難しいです。積極的に疑わないと気が付かないままになり、治療介入のタイミングが遅れてしまします。


 当院では、尿検査、尿細胞診、エコー検査など最大限の膀胱癌のスクリーニングを行います。

排尿日誌にて客観的に評価

 例えば「夜のトイレが近い」といっても、実際の夜間のトイレの状況は、人それぞれ違います。当院では、排尿日誌を記載いただき、客観的にトイレの回数、1回排尿量、1日の中での尿量のバランスを評価します。いままで曖昧だった尿の回数・時間・尿量の話が具体的になり、原因の検索や治療がスムースになります。


 排尿日誌をつけていいただくと、自分でもこうだったのかと自分を知ることができ、大変お勧めです。

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