前立腺肥大症
Q 尿が出る勢いが弱いと感じた事はございませんか?
Q 排尿の最後の切れが悪くて、なかなかトイレが終われない事はございませんか?
Q 少量の尿しか出ないのに、夜間に尿意で目が覚めるといったことはありませんか?
これらはどれも前立腺肥大症の初期の症状になります。前立腺は体の中にある臓器なので、普段なかなか自分の前立腺がどうなっているのかを知る機会がありません。
ご自身の前立腺の大きさをご存じですか?
実は、およそ9割の男性が50歳を超えると前立腺が腫大して尿道を圧迫する前立腺肥大症の状態となり、排尿の出にくさを自覚します。【前立腺については、こちら】
初期の症状は、尿勢低下、夜間頻尿、尿意切迫感や残尿感です。最近ちょっと尿が出にくいだけ、そう思っていたらだんだんと夜間のトイレの回数が増えた。すっきり出し切れず残尿感が残るようになった。水を触るとトイレに行きたくなったり、ふとした尿意が我慢できなくなてきた。このように症状はだんだんと変化してきます。
症状の進行と同時に膀胱の機能も悪化していきます。この状態だと、ちょっとした市販の風邪薬や咳止め、アレルギー薬を内服したことで、急にぴたっと尿がでなくなってしまうことがあり、困ってしまいます。
以前から尿がうまく出せなくなってきたけど我慢して様子をみていた方の一部で、膀胱機能が戻らないところまで悪化してしまう方がいます。膀胱は過活動膀胱・頻尿でトイレを我慢できないのに、実際に排尿しても尿が膀胱内に残る状態になります。
膀胱機能が悪化して残尿が多い場合は、尿道カテーテルを使用して尿を抜いたり、手術をして前立腺を一部削って尿を出すこともあります。
また、前立腺が肥大しているかな、そう思ってたら、肥大症の中に前立腺癌が潜んでいたいるということもあり、前立腺癌の評価をする「PSA採血」も一度行っておくと安心です。
泌尿器科の診療では前立腺の体積の測定、排尿がうまく出せているかの評価、前立腺癌の有無のチェック等を詳しく精査することができます。
<主な検査>
① 腹部エコーで前立腺体積や残尿を測定します。
② 簡単操作のTOTO社フロースカイのトイレ(尿流量測定装置)でいつものように排尿することで、実際の日常での尿の勢いをグラフにして提示することができます。
③ 前立腺癌の有無はPSA採血や直腸診、骨盤MRIで確認します。
④ 排尿日誌の記録で一回の貯めれる尿量や夜間の尿量のバランスを確認します。
治療は、主に前立腺肥大症の薬剤を使用します。
前立腺肥大症の薬剤は、前立腺に作用するもの、膀胱に作用するもの、血流から排尿機能を整えるものなど様々なタイプがあり、おのおの作用機序が異なっています。泌尿器科が専門でない医師の処方するオーソドックスな前立腺肥大症の薬剤では、効果がでる方もいる一方で、いまいち頻尿や残尿感、膀胱機能などの症状が改善しない方もいます。これは前立腺体積や膀胱機能など一人ひとりの背景にある原因が異なっていることに対する総合的な治療が考えられていないからです。また頻尿の症状だけ対応されていて、根本の原因である前立腺肥大症に対しての治療がなされていない場合もあります。
前立腺と膀胱機能に関する薬剤は、泌尿器科医師にお任せいただけると安心です。
前立腺体積がとても大きいの場合は前立腺の内部を切除するようなTUR-PやHoLEP、PVPといった手術がお勧めです。手術のご希望がある場合は、近隣の手術設備のある施設へご紹介させたいただきます。
繰り返しになりますが、前立腺肥大症は重症なまま放置していくと膀胱に負担をかけるために頻尿の症状が悪化します。初期に治療介入した場合は頻尿は可逆的に消えていきますが、長期間放置した場合には膀胱の器質的変化が起こり、どんなに治療介入しても頻尿を消すことができず、薬剤で症状を緩和することになります。もし症状があって困った際はなるべく早く受診し、排尿状態や前立腺体積を測定し、そのタイミングで治療介入した方がいいのか判断することが望ましいです。
毎日のトイレの悩みが解決してみると、思っていた以上に日常生活が快適になります。
外出先でトイレをきにすることもなくなり、トイレが近くて気兼ねしていたバス旅行も遠慮なく行けるようになります。排尿障害のストレスによって起こる男性ホルモンの低下も、予防できます。【LOH症候群については、こちら】
一緒に排尿の調子を整えて、日常生活の質をよくしていきましょう。
受付後、尿を提出していただきます。受診時に当日に採った尿をお持ちいただくことができます。(事前にスピッツをお渡しします)
TOTO社のフロースカイトイレにて尿の勢いの検査を行います。その後、残尿エコーをし、残尿がないかを確認します。
診察時に症状の変化などあればお教えください。現在の尿の性状、今までと尿勢や残尿の変化がないかを比較します。
季節(暖かいか寒いか)や、排便状況、他の内服薬の影響で、知らない間に排尿状態が変化していることがあります。気付かないうちに悪化していることがないように注意します。