男性更年期
(LOH症候群)
なんとなく不調、それって…
男性更年期?
「男性更年期」と聞いたことはありますか?
「LOH症候群」ともいわれ、最近よくメディアで取り上げられています。男性ホルモン(テストステロン)の低下で起こる多種多様な症状ををさした名前です。
男性ホルモンは、どんな働きをしているのでしょうか。実は、脳の海馬に作用して記憶力を良くしたり、心血管系を健康に維持することに貢献したり、全身の筋肉を保持したり、肝臓の働きをよくしたり、骨の中で血液を産生することをサポートしたり、脂肪細胞の増殖を抑えるなど、男性の体内のさまざまなところで大切な働きをしています。
男性ホルモンの分泌のピークは20歳前後といわれており、ちょうどその時期に、人は子孫を残すための活動が盛んになります。その後は徐々に徐々に低下を辿ります。約50-60歳前後で、これから第二の人生を謳歌しようというときに、男性ホルモンの低下で不調をきたす、それを「男性更年期」や「LOH症候群」と呼びます。
具体的な症状は・・・
精神症状として
☑抑うつ気分 ☑無気力 ☑不眠 ☑倦怠感 ☑イライラ
身体症状として
☑性機能障害 ☑筋力低下 ☑夜間頻尿 ☑動悸 ☑頭痛 ☑発汗 ☑ほてり ☑関節痛 etc
などがあります。
女性ホルモンは40-50代で急速に低下して、女性の更年期の症状が出現するため、わかりやすい体調の変化が出現します。女性は更年期だということを認識しやすく、診断治療を受ける機会が増えます。逆に、男性ホルモンは20代をピークにして以降は徐々に低下するため、男性更年期の症状の出現も緩やかでわかりにくいです。上記のような体調不良があっても気が付きにくく、気力や根性が足りないと考えて、医療機関を受診に至らず耐えて過ごす方も多いといわれています。
実は、尿が出にくいや夜間頻尿といった排尿障害も、男性ホルモンの低下が大きく関わっていることがわかってきました。それ以外にも男性ホルモンの低下で、骨塩量が低下して骨折しやすくなったり、メタボ体型になったり、高血圧・高脂血症・糖尿病になりやすくなります。
これらをほっておくと第二の人生を楽しむどころか、筋力低下からサルコペニアに一直線です。それでは人生が楽しみ切れずにもったいないです!
男性更年期のチェックは、簡単な問診表(AMS問診表)で判定をすることができます。この問診表で「合計点が50点以上」の方は、重症と判定されます。そして、男性ホルモン(テストステロン)の数値は採血で分かりますでの、症状の気になる方は採血をうけてみましょう。
男性更年期の症状に心当たりのある人だけでなく、メタボリックシンドロームの人、難治性の排尿障害がある人も、隠れて男性ホルモンが低下していることが多いので男性ホルモンの採血をなさるといいのではないでしょうか。
もし採血を受けて男性ホルモンの数値が低下していた場合は、定期的な男性ホルモンの注射や、男性ホルモンの塗り薬をつかって男性ホルモンを補充します。男性ホルモンを補充することで、男性更年期の症状は改善します。ついでにメタボリック症候群が解決の方向に向かい、かつ排尿障害や夜間頻尿もよくなることが分かっています。大変気持ちよく毎日が過ごせるようになるのではないでしょうか。
そして、実は前立腺肥大症の排尿症状があると、精神的にストレスがかかり、単純にそれだけでも男性ホルモンが低下することが、実際の研究からわかっています。前立腺肥大症の症状も合わせて治療することで、男性ホルモンの数値が上昇することが確認されています。
それ以外のどんなストレスも男性ホルモンの分泌の観点からは体にはよくないようです。上の表にあげた、「男性ホルモンが低下すしやすい習慣」は是非ご確認いただき、心の片隅において留めておいてください。
繰り返しますが、男性ホルモンがしっかりあることで、筋肉がしっかりあって、認知機能もばっちりで、心も体もすこやかなwell-beingな状態をながく楽しむことができます。
もし気になる症状があった際は、一度しっかりと検査を受けてみてもいいのではないでしょうか。
人生を、いつまでも充実させましょう♪
2022/1/26 NHK番組にて「男性更年期」が紹介されました。
働き盛りの40代、50代の男性の10人に1人に症状がでるという男性更年期の、症状のある方のうち医療機関の受診をされた方は、全体の10.5%程度だといわれております。この低い数値は、この男性更年期が一般的にあまり認知されていないことが要因のようです。イライラ、憂鬱な気分、不眠、性的機能の衰え、関節や筋肉痛、ひどい発汗などの症状があれば、ぜひ泌尿器科にて診察をお受けください。番組中で順天堂大学の堀江重郎教授は、「男性更年期は男性ホルモンが十分にあればおきにくい、その男性ホルモンは他人との交流が増えると増加する傾向がある」とおっしゃられています。コロナ感染にて他人との交流の機会が減ることで、男性ホルモンが低下する傾向にあり、男性更年期の症状に悩む方がでてきていらっしゃるのではないでしょうか?
体調が思わしくないときは、身の回りのことのストレスを減らしつつ、負担を減らしてお過ごしください。必要であれば、泌尿器科で診断や治療を受けてください。
ぜひ、ご自身の人生の楽しみを味わう時間を大切になさってください。
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現在お困りの症状についてのお話を伺いつつ、LOH症候群の問診表(AMS問診表)を記入いただきます。夜間頻尿や肥満、排尿障害、高血圧や高脂血症、EDなどの方もテストステロン(男性ホルモン)が低下している可能性がありますでの、そういった症状の有無をお聞きします。排尿障害のストレスからテストステロンが低下している場合があります。同時に前立腺肥大症の症状がないかも確認します。
エコー(前立腺体積の測定)と、採血(テストステロン値、PSA値などを測定)します。採血時に糖尿病や高脂血症の有無も確認します。
2回目の診察では採血の結果がそろいますので、そこでAMS問診票の点数やテストステロンの数値を考慮して、LOH症候群の診断を行います。
LOH症候群に該当する場合/LOH症候群が疑われる場合はホルモンの補充療法を行います。ホルモン補充療法では、テストステロンの注射製剤 エナルモンデポー250mgを4週間に1回(125mgなら2週間に1回)注射することで行います(保険診療)。まずこの注射を行って症状の改善が得られるかを確認して、症状改善が得られるようなら注射を定期的に継続し、改善がなければ途中で中断することができます。
まずは3か月注射を行い、効果判定をします。無効であれば、うつ病やほかの内科疾患がないか精査をするといいでしょう。
4週間毎の注射の治療中に、注射をして約3週間が経過した頃から倦怠感/気力低下が出現する場合があります。その際は、注射の男性ホルモンが切れてきて低下したと考えて、睾丸または顎下に男性ホルモンの軟膏(グローミン(R))を塗布することで、経皮的にホルモン補充をすることができます。このテストステロンの軟膏は自費治療です。
男性ホルモンを補充する塗り薬
このクリームは有効成分として男性ホルモンであるテストステロンを配合した医薬品です。男性ホルモンの分泌不足の方が陰嚢や顎下の皮膚(この部位ですと、皮膚が薄いため少ない量の塗布でしっかり経皮吸収できます)にこのクリームを塗ることで、経皮的に男性ホルモンを補充します。継続的に使用することで上記のLOH症候群の諸症状の改善すると期待できるクリーム剤です。
また性欲/性力の回復の効果もあります。
クリームタイプ10g入 1本 3800円(税込)