PSAについて…

前立腺の部位

 前立腺の癌の可能性がないか判断するためにPSA採血を行います。

 

 前立腺は男性のみにある臓器で、膀胱の下にあり、尿道をとり囲むようにして存在します。この前立腺が肥大すると尿の勢いが弱くなり、頻尿になります。また前立腺に癌ができるとPSAの採血が高値になります。前立腺肥大症と前立腺癌は別物です。

 

 PSAとは前立腺が産生する特異的な蛋白質で、精液の成分です。精液をさらさらにする働きがあります。通常、PSAは、主に精液に出ていきますが、生理的にごく微量だけ血液中に取り込まれます。このため、PSA検診(前立腺癌検診)のPSA採血の数値は、4ng/mlまでは正常範囲内とみなされます。「PSAが高い」と異常を指摘される基準は4ng/mLより上回るときです。

 

 食生活の欧米化が進んだ日本では、年々前立腺癌が見つかる方が増えています。50歳以上の男性は、年に1回のPSA採血が奨励されています。PSAは健康診断、癌検診、人間ドックで自費診療での採血や、医療機関での保険診療での採血で測定することができます。まだPSAを測定したことのない50歳以上の方は、一度測定することをお勧めします。

 

ここでは、もしPSA数値が高かったときどうするか、についてお話します。

 

 PSAが高い時に考えられる疾患は主に①前立腺癌、②前立腺肥大症、③前立腺炎があります。それ以外にも会陰部の圧迫(自転車やバイク)や射精、尿道バルン挿入などの尿道操作で一時的に上昇することもあります。さらに、自覚・無自覚にかかわらず前立腺肥大症や膀胱頚部硬化症などで尿が出にくいときに、上昇していることもあります。何が原因でPSAが高いか見分けていき、前立腺癌の可能性を疑われる時は、精密検査をしていく必要があります。

 

 PSAが高いと指摘されて受診された際は、PSAの再検査や肛門から指を入れ前立腺を触診する直腸診エコーによる前立腺の大きさの測定と内部の状態の確認をします。より詳しく前立腺の状態が知りたいと判断した場合は、骨盤の単純MRI撮影にて、骨盤内の前立腺の画像診断をします。MRIは病診連携を利用して、速やかに近隣の医療機関にて撮影を行い、当院にて結果説明をします。

 

 これらの検査結果を総合し前立腺癌が疑われる場合でも、それだけでは「前立腺癌の(強い)疑い」としか言えないため、確定診断のため前立腺生検が必要です。前立腺生検とは前立腺の組織を針で10か所程度、採取してプレパラートを作成し、顕微鏡を使って前立腺組織の病理所見を確認する検査です。

 

 前立腺生検は穿刺経路(経直腸、経会陰)や麻酔方法(静脈麻酔、局所麻酔)など選択でき、全国で統一された方法はありません。当院では日帰り経直腸的に前立腺生検を行っております。麻酔については、麻酔のメリットとデメリットをお伝えし、ご本人の希望する麻酔方法を選びます。検査の負担を減らしつつ、ご本人の痛みに最大限配慮し、かつ他の施設と比べても検査精度がしっかりある方法を選択しています。判定結果が出るのに約7~10日程度を要しますので、検査の結果は後日の受診時にご説明します。

【詳細は当院の「前立腺生検の説明書」に記載】

【当院の前立腺生検の3つの特徴】

【検査当日の流れ】

 

 

<前立腺癌が見つかった場合>
 前立腺生検の結果、前立腺癌と診断がついた場合は、全身のCT検査骨シンチ検査にて全身の遠隔転移がないかを確認し、前立腺癌として体内でどれくらいの広がりがあるのかという病期(ステージ)の診断をします。それらを踏まえて年齢など社会的な状況も加味して、前立腺癌の治療方法を考えていきます。病期診断についてご説明し、その時に選択できる治療方法についてお伝えします。主な治療方法には、手術治療、放射線治療(ホルモン治療併用)、ホルモン治療などがあります。

 

 前立腺癌は前立腺にとどまっている段階であれば様々な治療方法が存在し、どれを選択しても治療成績に差はないため、ご自身の生活スタイルや考え方に沿って治療方法を選ぶことができます。ご自身とご家族の考え方を十分に伺ったうえで選択できる内容を提案させていただき、ご自身で理解して十分に納得して選んでいいただくように心がけております。

 遠隔転移がある段階では、前立腺部分と遠隔転移部の双方に治療効果を出すためにホルモン療法を行います。場合によって放射線治療を併用することもあります。

 当院では前立腺癌に対するホルモン治療を行っております。手術や放射線治療に関しては、当院では設備を持たないため、病診連携を持っている信頼できるご希望の医療機関にご紹介いたします。

 

<前立腺癌が見つからなかった場合>

 また、針生検の結果で癌が見つからずに、前立腺の肥大症や前立腺部の慢性炎症でPSAが上昇しているとが考える場合には、その時の症状などに適した前立腺肥大症や慢性前立腺炎の薬剤治療を行うこともできます。

 

 <大切なこと!(注意点)>前立腺生検で癌が見つからなかった時。

前立腺生検では前立腺のごく一部を採取してスクリーニング的に調べている検査です。実際には前立腺癌の病変があっても、それがとても小病変の為に穿刺の針がそこに当たらずに、癌の組織の採取に至らなかった可能性があります。また、現時点では病変は無いけれども、その後に癌が発生する可能性もあります。

 今回の検査で結果が問題なかったからといって、今後一切のPSA採血をやめてしまうことは危険です。それ以降も、なんらかの機会に必ず前立腺癌検診やPSAの採血検査を受けるようにしてください。

  

WEB問診・ネット予約について

※ 随時「予約なし」での飛び込み受診もお受けしております。
※ 美容カウンセリング予約をご希望の方は、【こちら】をご覧ください。

当院の前立腺生検の3つの特徴

日帰りで前立腺生検を施行

検査されるかたの日常生活の負担にならないように、日帰りで前立腺生検を行います。
実際に針で組織を採取する時間は、約5-10分くらいです。

生検での痛みに配慮

前立腺の針生検というと、痛いのではと心配される方が多いです。
実は、直腸の奥の粘膜は痛みを感じないため、針を刺す時の痛みはありません。エコー器具を肛門にの挿入する時に、肛門括約筋の皮膚が拡張される違和感があります。

当院では痛みやご不安に配慮し麻酔の方法を選んでいただけます。無麻酔でも十分に施行できますが、肛門の挿入時の違和感が気になる方や痛み刺激に弱い方、無麻酔では不安だという方には、仙骨麻酔をすることで安心して検査を受けていただくことができます。麻酔のメリット、デメリットをしっかりお伝えして判断していただきます。

針生検が必要かどうか十分に判断

事前に腹部エコーや骨盤MRI検査、複数回のPSA採血で前立腺癌の可能性が高いかどうかを判断します。
その上で針生検が望ましいと判断した場合、きちんとお時間をとり、今の状態と必要な検査の内容を丁寧にご説明をすることを心がけております。十分に理解していただき、ご納得いただければ検査のスケジュールを立てていきます。

針生検当日の流れ

ご来院

12:00

平日のお昼の時間に検査を行います。ご来院頂き、受付を済ませましたら奥の処置室に移動します。ここで、腕に点滴ルートを確保します。その後、下半身を脱いでいただき、砕石位になれる台に横たわり、心電図と血圧計といったモニター類を装着します。

麻酔と、前立腺生検の実施

12:30~13:00頃

麻酔のご希望があれば、仙骨麻酔を施行します。無麻酔で開始し、痛みの強い場合に仙骨麻酔を追加することもできます。

 

検査台の上で、両脚を上げて寝る砕石位という体勢になります。

肛門から細長い棒状のエコーを挿入し、前立腺の様子を確認します。

その後に針で10~12本、組織を採取します。組織を採取する時間は約5~10分です。

検査後の経過観察

無麻酔で30分~1時間
仙骨麻酔で2時間前後

検査後に、前立腺肥大症が強い方では稀に尿が出ない状態になることがあります。検査後に最初の排尿が出るかを確認します。検査後の血尿の程度もチェックします。問題なければ、ご帰宅いただきます。

検査の結果は後日届きます。約10~14日後に受診いただき、病理結果をきいていただきます。

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